引張-FTIR同時測定装置を用いた強靭化メカニズムの解明
本研究では、引張-FT-IR同時測定装置により、HUB導入PMMAの強靭化メカニズムの解明を試みた。
引張-FT-IR同時測定装置
加熱型小型引張試験機(アクロエッジ社製)を赤外分光装置(FT-IR)に組み込むことで、引張試験中にFT-IR測定を連続的に測定することができる。種々の引張速度や引張ひずみで引張試験または応力緩和測定を行い、同時にFT-IRスペクトル変化を追跡する。

強靭化メカニズムの検討
以下に、本研究で実施した等温FT-IR測定と応力緩和試験の結果を示す。図からHUBの解離が進行するとともに、応力が緩和する様子が確認できる。高温(青)では解離により生じたNCOの割合が高くなり、応力緩和は大きくなっている。一方、低温(赤)ではNCOの割合は低く、応力緩和は小さくなっている。また、種々の温度におけるデータを解析することで活性化エネルギーを求めたところ、HUBの解離と応力緩和は同じ活性化エネルギーであることが示された。ここで、HUB導入PMMAの応力緩和は分子鎖の配向緩和に起因することを踏まえると、その配向緩和はHUBの解離がトリガーとなり生じることで、応力が緩和すると結論付けられる。すなわち、HUB導入PMMAの応力緩和(分散性)はHUBの解離に支配される。
ここではデータは示していないが、ひずみを変化させて応力を増大させると、応力緩和速度が速くなるという結果が得られている。この結果は、応力印加がHUBの解離を促進することを示唆しており、この機構が強靭化メカニズムの要因となると考えられる。

本研究は、公益財団法人JKA研究補助事業(競輪)の支援を受けて実施したものです。
